「年金機能強化法」(「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」)の一部が平成26年4月1日から施行されています。この法律による改正のうち、障害年金に特に関係するのは次の2項目です。
額改定請求の待機期間の一部緩和
額改定請求は、障害年金を受給している方の障害の状態が増進した場合に、障害年金の額の改定を求める請求で、障害年金の受給権を取得した後または障害の程度の診査を受けた日から1年経過後にできることとされています。この額改定請求が「障害の程度が増進したことが明らかである場合」として省令で定められた次の場合には、1年を待たずに請求できることになりました。
【2級に該当する方が次のいずれかの状態に至った場合】
- 両眼の視力の和が0.04以下のもの
- 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
- 両上肢の全ての指を欠くもの
- 両下肢を足関節以上で欠くもの
- 四肢又は手指若しくは足指が完全麻痺したもの(脳血管障害又は脊髄の器質的な障害によるものについては、当該状態が6月を超えて継続している場合に限る)
- 心臓を移植したもの又は人工心臓(補助人工心臓を含む)を装着したもの
- 脳死状態(脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態をいう)又は遷延性植物状態(意識障害により昏睡した状態にあることをいい、当該状態が3月を超えて継続している場合に限る)となったもの
- 人工呼吸器を装着したもの(1月を超えて常時装着している場合に限る)
【3級に該当する方が次のいずれかの状態に至った場合】
- 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
- 8等分した視標のそれぞれの方向につき測定した両眼の視野がそれぞれ5度以内のもの
- 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの、かつ、8等分した視標のそれぞれの方向につき測定した両眼の視野の合計がそれぞれ56度以下のもの
- 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
- 喉頭を全て摘出したもの
- 両上肢の親指及び人差し指又は中指を欠くもの
- 一上肢の全ての指を欠くもの
- 両下肢の全ての指を欠くもの
- 一下肢を足関節以上で欠くもの
- 心臓再同期医療機器(心不全を治療するための医療機器をいう)を装着したもの
- 人工透析を行うもの(3月を超えて継続して行っている場合に限る)
- 6月を超えて継続して人工肛門を使用し、かつ、人工膀胱(ストーマの処置を行わないものに限る)を使用しているもの
- 人工肛門を使用し、かつ、尿路の変更処置を行ったもの(人工肛門を使用した状態及び尿路の変更を行った状態が6月を超えて継続している場合に限る)
- 人工肛門を使用し、かつ、排尿の機能に障害を残す状態(留置カテーテルの使用又は自己導尿〈カテーテルを用いて自ら排尿することをいう〉を常に必要とする状態をいう)にあるもの(人工肛門を使用した状態及び排尿の機能に障害を残す状態が6月を超えて継続している場合に限る)
特別支給の老齢厚生年金の支給開始に係る障害者特例の適用改善
特別支給の老齢厚生年金の受給権者が、障害厚生年金の3級以上に該当する程度の障害の状態にあり、かつ厚生年金に加入していない場合、障害者特例の請求をすることにより、報酬比例部分に加えて定額部分が受給できます。この障害者特例について、これまでは「請求月の翌月」から障害者特例による支給が受けられることとされていましたが、平成26年4月1日から、障害年金の受給権がある方については、要件に該当したときにさかのぼり、障害者特例による支給が受けられることになりました。
具体的には次のようなケースが該当します
- 特別支給の老齢厚生年金の受給権があり、かつ厚生年金の被保険者でない方が、障害年金の受給権を取得した場合
- 障害年金の受給権があり、3級以上の障害の状態にあることが確認できる場合で、かつ厚生年金の被保険者でない方が、特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合
- 特別支給の老齢厚生年金の受給権があり、かつ障害年金の受給権者で3級以上の障害の状態にあることが確認できる方が、厚生年金の被保険者でなくなった場合
*施行日である平成26年4月1日より前にさかのぼることはありません。